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2024年 07月 23日

飯能市立博物館で開催中の展覧会。初日には当時小学生で空襲に遭い、焼けた家から発見した溶解した硬貨を大切に保管し、それをお持ちいただいて見せて下さった方も。また小学校から渡された当時の成績評や書類ななど、貴重な品々もお持ちいただいて見せて頂きました。

そして、先週はアーティストトークが開催されました。暑い日にもかかわらず、様々な年代のお客様や新聞社の記者の方などお集まり頂きました。

トークでは、この母の記憶からモンタージュ写真の制作のように描き起こした色見本制作のような制作のきっかけや、修復のリサーチで巡り合った絵や人々、さらに作品の制作過程など、材料や発色の原理についてなど、スライドも交えながら話しました。母は飯能へ疎開、父は海軍省で図面を描き、彫金家の祖父はノギスを精密に削る仕事を手伝い、叔父は学徒動員で中島飛行機で勤務など、戦争に関わった家族の物語なども。

お客様の感想には、現代のテレビで観る各地の戦場の映像よりも、伝わって来るものがあるとの感想もいただきました。

いつものギャラリーでのトークではかなりカジュアルに進めますが、今回はやや堅い話にもなり、小学生やご年配の方々も居られたりと、様々な世代の方々の前で、とにかく分かりやすくを心がけてお話しすすめさせていだだきました。文字や記録で伝えたこの炎の空の物語が多くの方々にも伝わり作家の早乙女勝元さんから受けた絵画による実相の伝承ということを身を持って感じました。

飯能市立博物館でのアーティストトーク_a0250454_11553797.jpg


# by ogatajun | 2024-07-23 11:55 | Comments(0)

2024年 06月 26日

💫文化財保存修復学会第46回大会にて発表⚜️
「自然災害により被災した絵画の修復処置について
ー浸水によるアクリル絵画の状態と対応処置ー」
先週末に八王子の帝京大学で開催された文化財保存修復学会にて無事に発表をすませました。コロナ禍で参加を見合わせ続けた学会でしたが、久しぶりの参加となりました。発表会場は撮影禁止になり、様子をお見せできませんが、会場ではこの被災絵画の処置にあたった関係者の皆さんと様々な情報交換の場ともなりました。渡部豊重さん田中岑さんの絵画についても私たちの持つ情報を公開しました。被災絵画は災難であり負の出来事ではありますが、災害に遭って明らかになる絵画の技法や手法もあります。今回の報告に興味のある方は私たちの工房のサイトで本日より公開しています。小さな発表ですが修復事例報告となります。「自然災害により被災した絵画の修復処置についてー浸水によるアクリル絵画の状態と対応処置ー」http://www.tokyoconservation.com/research/pdf/Condition_and_Restoration_of_Water_Damaged_Acrylic_Paintings.pdf  
💫文化財保存修復学会第46回大会にて発表⚜️_a0250454_22292829.jpg



# by ogatajun | 2024-06-26 22:26 | Comments(0)

2024年 06月 09日

⚜️展覧会のご案内⚜️飯能市平和都市宣言制定記念展 記憶の色を保存する 炎と灰のモンタージュ
 -尾形純が描く飯能から見た東京大空襲-
飯能市立博物館 きっとす HANNO CITY MUSEUM
2024年7月14日(日)〜9月1日(日)
7月20日 ワークショップあり;アーティストトーク (母の記憶・空襲の「色」をたどる絵画の制作)近年は美術館、博物館での、展示が続きます。この展示では日頃の御庭の世界とは異なる展覧会になります。昨年、原爆の図丸木美術館で開催して頂いた展覧会。母の記憶を辿るテーマの制作発表は、母が空襲を目撃した疎開先、まさにこの飯能の地での物語、飯能市立博物館での展覧会になります。空襲の炎の空色を、史実と照らし合わせて発表します。「戦争の色見本」として色に特化した戦争画は、さらにバージョンを上げて展覧いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
炎と灰のモンタージュ飯能市立博物館で開催_a0250454_21224265.jpg


# by ogatajun | 2024-06-09 21:21 | Comments(0)

2024年 06月 08日

第46回文化財保存修復学会6月23日・日曜日-で発表します。ここ数年、私が主宰する修復のスタジオでは災害で被災した美術館の作品修復に関わらせていただいています。今回はその中の一つ、抽象の雄、渡辺豊重さんの作品の修復についての発表をさせていただきます。アクリルで描かれたこの大作は汚損した水害によって特異な症状を呈しました。
今回はこの症状に対応する修復の事例報告という形で、私が代表として川崎市市民ミュージアムの学芸室長の佐藤美子さんとの共同研究発表となります。経年等で劣化した作品に対応する修復処置とは大きく異なる症状とそれに対する修理の倫理観や処置技術の発表になります。(帝京大学八王子キャンパス) https://jsccp.or.jp/taikai46/presenting.html会場へはどなたでも参加できます(有料)が、今回の私の発表は、後日スタジオのサイトでも公開いたします。よろしくお願い申し上げます🙇🏻‍♂️修復技術#学会#渡辺豊重
文化財保存修復学会へ_a0250454_22022444.jpg


# by ogatajun | 2024-06-08 21:53 | Comments(0)

2024年 04月 08日

今月から、永田町の衆議院 憲政記念館で企画展示全4期「議会政治の軌跡」展という展覧会が開催されています。私が修復した肖像画も飾られている展覧会。ここ数年間来、大戦前の代表的な政党、立憲政友会の総裁を描いた肖像画を数点修理させて頂いてきました。暗殺された首相を含め4人の首相のひどく傷ついた肖像を修復せよ、というミッション。施設内で修復不可能という過酷な状態ながら大切に保管されて来た作品たち。それらを丁寧に調査し時間をかけて修復、復元まで漕ぎ着けました。この衆議院の施設では、作品を美術品、同時に「資料」として保管し、肖像画も誰を描いたか明瞭である必要があるとして保存修復に取り組んでおられる。

顔や衣服の消失した作品は修復作業の流れの中で、顔の描画や加筆作業といった作業も必要になる。保存修復の教科書通りにはいかない事もあるのが巷の保存修復だ。通常の修理処置ではここまで!というところ資料を取り寄せ肖像画として成立するまで修復の倫理観の中で肖像画を描いてゆく。修復技術と絵画技術の盛り合わせだ。

今回の展示では最近修理させて頂いた犬養毅肖像画が展示されています。その他、田中義一、高橋是清、鈴木喜三郎(敬称略)などの肖像画が修復後、絵の中で生々と蘇り保管されている。歴史上の人物を残し、それを描いた作家も保存するという事だ。これらを描いたのが当代、肖像画家として活躍した上野広一画伯。明治19年に岩手県に生まれ、渡仏してジャン・ポール・ローランスに師事した人。上野さんの作品を修理させて頂く中で、この人の絵が実に当時の明治期に成立した画家たちの技法とは一線を画しているということを感じた。僕なりの感想だけど、とてもモダニズムに傾いた人だと思う。画面は均質、薄塗りで、肖像の描写も簡略化された筆跡もあり、極めて表現的な描写がそこにはある。決められた枠の中で、きっといつも実験的に肖像を描いていたのだろうと想像を膨らませている。

**令和5年7月1日(土)から令和6年6月29日(土)まで、「議会政治の軌跡」と題して、帝国議会開設後から政党政治の終焉までの経過を4期に分けて、議会に関わる出来事や人物を時代の諸相などとともに展示しています。ぜひお越しください(^_^)当代の画家の歴史も垣間見える貴重な展示となっています。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kensei/kensei.htm#chapter1

戦前に描かれた肖像画の修復とは?永田町に眠る首相たち_a0250454_22182446.gif


# by ogatajun | 2024-04-08 22:17 | Comments(0)